「名指し」の効果――ゆとり世代の本当の被害
ゆとり世代に関する、ある種の固定的なイメージについて。ゆとり世代より上の世代の人達に「ゆとり世代をどう思うか」と尋ねると、「諦めやすい」「やる気が希薄」「ストレスに弱い」「自己中心的」などといった定型的な答えが返ってくる。テレビの街頭インタビューではおなじみの光景だ。だが、その見解は正しいのか。これら特定のイメージは、ある思い込みの産物なのではないか。佐藤博志と岡本智周の共著『「ゆとり」批判はどうつくられたのか――世代論を解きほぐす』(太郎次郎社エディタス)によれば、ゆとり世代とは、2002年度に実施された1998年小中学校学習指導要領、もしくは2003年度に実施された1999年高等学校学習指導要領で学んだ、1987年4月2日から2004年4月1日生まれの人達のことを指す。1998年小中学校学習指導要領は、「生...「名指し」の効果――ゆとり世代の本当の被害