[Ⅺ 339] ヨブ記巡禮 (8) / 友遠方より来たる
およそ大国のトップらしからぬ風情で腰を振りながら金髪の老ダンサーがリングに登場した。彼の周囲を政府の閣僚なのか大富豪なのか報道官なのかわからぬ険しい面構えの輩が取り巻いている。彼らは捨てられた犬のようにおどおどしている。目つきは鋭いが顔が不健康さで歪んでいて知性を感じない。金髪の老ダンサーは山のように積まれた書類ファイルに次から次とサインを続ける。いつもダンサーの左後ろにいるvice-presidentは何かの動物の顔をしている‥そうだ犬だ、咬ませ犬だ、飼い主の命令には忠実で飼い主がけしかけるとその人間を咬みに行く。咬まれた人間はなぜかわからぬまま乱暴な犬の牙をおそれて黙ってしまう。老ダンサーは頻繁にEV自動車メーカー兼SNS企業兼宇宙企業の大富豪を引き連れている。大富豪は明らかに誇大妄想を抱く精神病質者...[Ⅺ339]ヨブ記巡禮 (8)/友遠方より来たる